前回の「UNIXからLinuxへの移行について(2)」で移行難易度別に分けて段階的に移行する方法がより安全であることを説明しました。
今回は難易度別の移行について少し触れてみたいと思います。
移行難易度別の移行方法
難易度Level1の移行
難易度Level1では、上部の図のようにHardwareとOSのみをx86 Server+Red Hat Enterprise Linuxに変えることです。難易度のLevel2やLevel3に比べて比較的にリスクも少なく導入が容易で大きな費用対効果を得ることができます。
Linux Software Stackを構成するためのHardwareを導入する、またはクラウドサービスを活用して仮想+OSの環境を構築し、既存のDBMS、WAS、WEBを導入することで実現可能です。注意点として、既存のSoftwareの互換性やOS依存の設定、最適化の考慮が必要になります。また、OSを含む一部のSoftwareはパッチの適用やUpdateなどが必要な場合があります。
難易度Level2の移行
難易度Level2では、上述のLevel1に加えてWEB、WASのLevel2の領域を追加で移行することです。HardwareとOSのみを変更するLevel1に比べてやや難易度が高いため、相応の技術力が必要ですが、一定の費用対効果を得ることができます。
Level2の移行の際は既存のWASの動作環境が非常に重要で、Javaで開発されたアプリケーションの場合、Javaのバージョンによって、大きな影響を及ぼす可能性があります。特に、J2EEからjava EEへ移行する場合、大きな仕様変更を伴うため、緻密な調査と分析が必要です。また、C、C++などプラットフォームに依存する言語で開発されたアプリケーションの場合、Linux環境でリビルドが必要です。
難易度Level3の移行
最後に、難易度Level1、2、3のすべての領域を移行することです。移行の完了後はTCOの削減とともに最も効率的な状態でインフラ環境を運用することができる理想的な環境と言えます。ただし、このような効果を得るまでは既存のUNIX Software Stack全体をLinux Software Stackに移行しなければならないという負担があります。
特に、Oracle依存の Trigger、PL/SQL、Sequenceなどの機能を使用している場合、MySQLやMariaDBへ移行は非常に難易度の高いため、相応の技術力と経験が必須となります。
次回は、UNIXからLinuxへ移行する際に考慮すべき点について、説明します。